コンピュータの進歩にともないパソコン用語が増加している。
一般人にはあまり聞きなれない表現も多く、パソコン通には常識であってもなかなか意味がわかりづらいものも多い。
その中で「バーチャル」という言葉に注目してみた。
近年、日本では「バーチャル」といえば「仮想の」や「ネット上の」などと訳されている。
英語で「virtual」とは「実質上の」、「事実上の」、「実際の」などという意味として使用されている。
まったく逆の意味であるような気がしませんか?
日本での「バーチャル」は「本当のようなウソの」という解釈に対して、英語の「virtual」は「ウソのような本当の」という解釈になる。
「バーチャル」は「ウソ」であるのか、「本当」であるのか?
「virtual community」は「ネットワーク上の共同体」
「virtual corporation」は「プロジェクトのために複数の企業からスタッフを集めてつくった会社」
「Virtual Library」は「インターネットの情報検索サービスの一つ」
「virtual reality」は「コンピュータの生成した現実と酷似した環境」
こうして並べてみると「バーチャル」は「ウソ」ではなく「本当」という解釈で使用されている。
「バーチャルリアリティ」が略されて、「バーチャル」だけが一人歩きしているのが日本の「バーチャル」となっている様子。
パソコン用語は英語が主であるため、しっかりと英語の解釈を理解しておく必要があると思うが、日本英語が日本人の性質を表していると考えると、「バーチャル」が「ウソ」という解釈で生きる日本人はパソコンを「ウソ」をつける道具として取り扱うことになる。
「バーチャル」を「本当」と解釈していれば、パソコンは「本当」を知ることができる道具となる。
ネット上で「本当」を表現する人と「ウソ」を表現する人が混在しているのも、「バーチャル」の解釈が異なることが影響しているのかもしれない。
実際に医療現場でも「バーチャルリアリティ」による診断が行われている。
「画像診断」がそれであるが、レントゲン写真ではなくコンピュータが描き出す画像を見て診断を行う。
多くの患者が「本当」という解釈でその画像を見て説明を受ける。
「ウソ」と解釈して医者を困らせる患者はほとんどいない。
これからも「バーチャル」は「本当」という解釈で社会的には使用されていく。
「ウソ」と気づくには「バーチャル」が「ウソ」という解釈をしている人に限られることになるわけだが、コンピュータは正直である。
「ウソ」をインプットしておけば永遠に「ウソ」をつき続ける。
|