貯蓄ゼロ世帯が増加中という現実に歯止めをかけることはできるのか。
金融公報中央委員会の「家計の金融資産に関する世論調査」で、貯蓄ゼロ世帯が10年前の2倍に増加という結果が報告されている。
貯蓄がないということは失業と同時に手持ち金ゼロ円という世界でどのように生き延びていくのか?
近年、労働力として派遣社員やフリーターの雇用が目立ってきたが、あえて働かない人も増加している。
生活保護という行政から支払われるお金を頼りに生活をする世帯が、ここ10年間で1.7倍に増加しているという。(厚生労働省「社会福祉行政業務報告」)
理由のひとつにフリーターとして労働するよりも生活保護を受けたほうが年収がよいという実態も後押ししているようだ。
しかも家賃や医療費も行政に負担してもらえるとなれば、むやみにフリーターとして働くよりもよほどよい生活ができる。
逆にいうと、それほどフリーターの労働条件は悪いといわざるを得ない。
社員と派遣、派遣とフリーターとで、同じ仕事をしても収入が異なってしまう現状を打開しない限り労働意欲は蝕まれてしまう結果となる。
そこに働くよりも条件のよい行政制度があるならば、当然それを利用したくなる。
貯蓄ゼロでも大丈夫ですという行政制度は理想であるが、現在の日本の社会保障制度では貯蓄ゼロ状態で生きていくのは困難である。
しかし、増加し続ける「貯蓄ゼロ世帯」や「生活保護世帯」を食い止めるには新たな労働システムの構築と、社会保障システムが必要となる。
お金が必要な人は労働時間を増やし、現状で問題ない人は労働時間を減らす。
ワークシェアリングの導入に動き始めている企業も出てきてはいるが、国自体の労働システムにはなっていないのが現状である。
子供のいる世帯ではその人数によって必要な収入は、子供がいない世帯よりも多くなければならない。
この当たり前のことを改善できずにいるため、逆に行政負担の子供の学費減免費用が増加する結果となってしまっている。
収入もなければ貯蓄もない世帯を救うために行政負担が増加し続ける一方で、税収入は減少している現状を打破するには、国も地方も思い切った改革を打ち立てなければならないだろう。
現在、日本とオランダの平均月収は同等である。
社会保障費を月収から控除した実質月給は日本とドイツがほぼ同等である。
しかし、オランダ、ドイツと日本が根本的に違うのが物価である。
実は収入に対しての物価は日本がはるかに安いのである。
薄利多売の商売形態になっているというとわかりやすいかもしれない。
各企業がしっかりと給料を払えるような価格設定ではなく、ムダに数を売って利益を出す方式が頭打ちしたと考えてもよいのではないだろうか。
食料自給率の低い日本が食料をムダに消費する現状も、収入に対する物価のバランスが崩れている結果であろう。
いま、日本国内で無駄な食料を半減させ、貧困国に無駄にしていた食料を供給することで日本の世界的な貢献度は大きく評価されるだろう。
日本が大きく変われば世界が変わる!
それほど日本は世界に影響力を及ぼしている国となっている。
貯蓄ゼロ世帯、生活保護世帯問題を改善するには、多くの国民が柔軟に潤うような労働システムを国が打ち出し、収入と物価のバランスの調整を行う必要があるだろう。
そして、貧困国の食料事情を改善することで日本は大々的に世界に認められ、活躍する場を広げられるだろう。
|