パラサイトは「寄生生物」、「寄生者」、「寄生虫」といった意味の言葉。
「いそうろう(居候)」、「寄食者」という意味で使われることもある。
近年、日本では離婚率がアメリカを追い抜き、晩婚化や非婚化も進んで少子化となっている。
そして親と同居する30代シングルが増加中である。
20代後半に差し掛かると、「早く結婚しなさい!」、「結婚相手はいないのか!」などと口やかましい親たちが、30歳を過ぎた子供にいう言葉は、「急いで相手を探さなくてもいいからね」、「そのうち気の合う人が見つかるよ」などと変化する。
親たちも子供が30歳を過ぎると諦めるのか、手元に置いておきたくなるのか、便利な足としてこき使いたいのか、何もいわなくなってくる。
いざ、子供が結婚すると、「嫌になったらすぐに帰っておいで!」、「子供を連れてさっさと帰ってきなさい!」とけしかけるようになる。
これこそが「パラサイト現象」の始まりである。
親元には自分の子供と孫が増え、出戻り大歓迎でいろいろと世話をしてくれる。
孫は親にあずけて子供は遊びに夢中となったり、仕事を始めてみたりする。
その昔は、嫁に行った娘には「ちょっとやそっとのことでは実家の敷居はまたがせない!」という風習があったわけであるが、今や親たちが子供の離婚を推進する時代となっている。
子供たちは親元に寄生して生きていく。
「帰省」ではなく「寄生」である。
これが「パラサイト現象」である。
「寄生」とは、「他の生物の体表や体内につき、その養分をとって生活すること」であるが、ここでは「自分であまり働かないで、他に頼って生きて行くこと」ということになる。
ここからわかるように、結婚というものがそれほど重要なものとして認識されなくなってきている。
結婚よりも同棲を重んじ、結婚は「できちゃった婚」が主流となってきている。
しかも生活基準は自分の親の生活レベルに置かれているため、それより以下であれば実家に帰るほうがよい生活が送れると考える。
親も嫁いだ子供が帰ってきたと大喜びである。
物質文明の中で育った世代の結婚観は、物質的条件がそろっているかが一番の問題となり、同棲によって体の相性を確認し、一番大切な心の相性が未確認のまま「できちゃった婚」に到達する。
そして性格の不一致により離婚を選択することとなる。
シングルマザー世代の子供たちは親にパラサイトし、その子供もまた親にパラサイトする。
日本の家族の姿は本当にこれでよいのかと疑問に思うが、現代のストレス社会を生き抜くためには、親にパラサイトすることが一番よい方法となってきているのかもしれませんね。
逆に、親も子供にパラサイトしているほうが気分的に楽であるのかもしれません。
「相互パラサイト現象」とでもいうべきでしょうか。
|